ニュージーランドの市民と政治
![]() |
ニュージーランド政治の入門書としては評価 |
ニュージーランドの政治・行政制度について、概略的に説明された入門書としては非常に適切なものであろう。特に、人口の少なさからくる「民主主義」の機能のしやすさ、ということは指摘できる。また、ニュージーランド議会が1院制で、バックベンチ、フロントベンチという配置がなく、与党議員の半数が大臣となることはオーストラリアと大きな違いである。また、小選挙区と比例代表を組み合わせた制度ゆえに、二大政党制というわけでもなく、連立が行われるのも特徴である。本書の最大の問題点は、ニュージーランドの政治が「市民のため」に行われるもの、予算は市民のものと、呪文の如く「市民のため」が強調されるが、そこに設定されているのは、完全なる抽象名詞としての「市民」でしかない。そこには、際の国民の具体的な所得・階級格差、地域格差が歴然として存在し、マスとしての多様な集合体であるにもかかわらず、まったくそれらが捨象され、「市民」となってしまっている点であり、そこには、何ら、ニュージーランドの国民の姿を明らかにしたものはない。「市民」を神格化する、いかにもNGO的発想であり、その完全なる前提に立脚している点は救いようのない問題である。ただ、ニュージーランドの政治・行政制度の概説としては適切な本であろう。
![]() |
ニュージーランドの行政改革についてよくわかる |
ニュージーランドの行政改革について随分ともてはやされた時期がありました。しかし、当時は断片的な情報しか得ることができず歯がゆい思いをしたものです。今回、この本を読んでやっとその思いを解消することができました。ニュージーランドのここ数年の行政改革について、この本は余すところなく伝えてくれます。特に地方自治に関係する人々にはおすすめです。


